「デジタルでイラストを描いてみたいけど、何を揃えればいいか分からない…」
「iPadが有名だけど、もっと手頃で自分に合ったタブレットはないかな?」
そんな風に考えている方には、「高性能Androidタブレット」がおすすめです。
かつては「イラスト制作といえばiPad」というイメージが強かったかもしれません。しかし、近年のAndroidタブレットの進化は目覚ましく、プロのクリエイターも注目するほどの高性能なモデルも登場しています。
この記事では、「高性能なAndroidタブレットで快適にイラストを描きたい」と考えるすべての方に向けて、後悔しない選び方、目的別のおすすめモデル、アプリをご紹介します。
はじめに:なぜ今、イラスト制作に「Androidタブレット」が選ばれるのか?
PCやiPadにはないAndroidタブレットならではの魅力
多くの選択肢がある中で、なぜAndroidタブレットがイラスト制作者に選ばれ始めているのでしょうか。それには、PCやiPadにはない、Androidならではのメリットがあるからです。
- 圧倒的な選択肢の多さとコストパフォーマンス
プロ向けの20万円近いハイエンドモデルから、気軽に始められる3万円以下のエントリーモデルまで、予算や目的に合わせて多種多様な製品から選べるのが最大の魅力です。同程度の性能でもiPadより安価な場合が多く、コストを抑えたい方には特にうってつけです。 - microSDカードによる手軽なストレージ拡張
高解像度のイラストデータは、一枚でも数百MBになることがあり、ストレージ容量を圧迫しがちです。多くのAndroidタブレットはmicroSDカードに対応しているため、後から手軽に、そして安価に容量を増設できます。本体容量を気にせず、たくさんの作品を保存できるのは大きなメリットです。 - 高いカスタマイズ性とファイル管理の自由度
PC(特にWindows)に近い感覚でファイルを直接管理できるため、データのバックアップやPCへの移動が非常にスムーズです。また、ホーム画面のレイアウトやウィジェットの配置など、OSのカスタマイズ性が高く、自分が最も使いやすい環境を構築できます。
こんな方におすすめ!Androidタブレットでのお絵描き
もしあなたが以下のいずれかに当てはまるなら、Androidタブレットが役に立ちます。
- デジタルイラストに初めて挑戦する初心者の方
- できるだけコストを抑えてお絵描き環境を整えたい方
- 趣味として気軽にイラストを楽しみたい方
- 普段からWindows PCを使っていて、データ連携をスムーズに行いたい方
- 設定を自由にカスタマイズするのが好きな方
後悔しない!イラスト用Androidタブレット選びの7つの重要ポイント
イラスト用Androidタブレットを選ぶ上で特に注目すべき7つのポイントを、優先順位の高い順にご紹介します。
画面サイズと解像度
画面サイズ:快適な作業スペースを確保するため、10インチ以上推奨です。画面が大きいほどキャンバス全体を見渡しながら細部を描き込めるため、作業効率が格段に上がります。持ち運びやすさを重視するなら8インチクラスも選択肢になります。
解像度:イラストの精細さを決める重要な要素です。最低でもフルHD(1920×1080)以上、本格的に描くなら2K(2560×1600など)以上のモデルを選びましょう。解像度が高いほど、描いた線が滑らかに表示され、作品のディテールをより鮮明に確認できます。
ペン性能
付属または対応するスタイラスペンの性能は、描き心地に直結します。以下の2つの機能は、表現の幅を広げるために必須と言えます。
- 筆圧検知機能:ペンを押し込む力の強弱で、線の太さや色の濃さを変えられる機能です。これがなければ、アナログで描くような繊細なタッチは表現できません。最近のモデルは4096段階や8192段階の筆圧検知に対応しており、数値が大きいほど、より細やかな表現が可能になります。
- 傾き検知機能:ペンの傾きを検知し、線の質感を変えられる機能です。例えば、鉛筆を寝かせて塗るような、幅のある柔らかな表現が可能になります。
このほか、描画の遅延が少ないことや、画面に手をつきながら描いてもペン先だけを認識する「パームリジェクション機能」も快適な作画には欠かせません。
処理性能(CPU・メモリ)
イラスト制作、特にレイヤーを何枚も重ねたり、大きなブラシを使ったりする作業は、タブレットに高い負荷をかけます。
- CPU(SoC):タブレットの「頭脳」にあたる部分です。高性能なCPUほど、複雑な処理をスムーズに行えます。快適さを求めるなら、SnapdragonやDimensityといった有名シリーズの上位モデルを搭載した製品を選ぶと安心です。
- メモリ(RAM):データを一時的に記憶しておく「作業机の広さ」にあたります。メモリが大きいほど、複数のアプリを同時に起動したり、解像度の高いイラストデータを扱ったりしても動作が安定します。イラスト用途なら8GB以上あると快適です。
ストレージ容量
完成した作品や資料を保存しておくためのスペースです。アプリやOSのデータも容量を消費するため、最低でも128GB、予算が許すなら256GB以上あると安心です。前述の通り、多くのAndroidタブレットはmicroSDカードで容量を追加できるため、本体ストレージはアプリの保存用、作品データはmicroSDカード用、といった使い分けも可能です。
ディスプレイ品質
描いているときの色と、他のデバイスで見たときの色が違う…という事態を避けるために、ディスプレイの品質も重要です。特に「色域」に注目しましょう。これは、どれだけ広い範囲の色を表現できるかを示す指標で、sRGBやDCI-P3といった規格のカバー率(%)で表されます。この数値が100%に近いほど、より正確で豊かな色表現が可能です。
有機ELディスプレイは、液晶ディスプレイと比較して色の再現性が格段に優れており、黒の表現が深く、コントラスト比が高いため、色彩豊かな作品制作に最適です。特に暗部の階調表現が美しく、ダークトーンのイラストを描く際に真価を発揮します。
バッテリー容量
カフェや外出先など、コンセントがない場所で作業することも多いなら、バッテリー容量も確認しておきましょう。8,000mAh以上が一つの目安になります。(画面の明るさや使用するアプリによって消耗速度は大きく変わるため、参考値としてです。)
拡張性と独自機能
USB Type-Cポートが映像出力(DisplayPort Alternate Mode)に対応していると、外部モニターに画面を繋いで大画面で作業するといった使い方も可能です。また、Samsungの「DeXモード」のように、タブレットをPCのようなデスクトップ画面で操作できる独自機能を搭載したモデルもあり、複数のウィンドウを開いて作業する際に非常に便利です。
【価格帯別】イラスト向け高性能Androidタブレット おすすめ10選
ここからは、あなたの予算とニーズに合った一台を見つけるために、具体的なモデルの性能や特徴を、価格帯に分けて詳しく比較紹介します。
【10万円以上】プロも納得!妥協なきハイエンドモデル
この価格帯のモデルは、Androidタブレットの技術の粋を集めたフラッグシップ機です。処理性能、ディスプレイ品質、ペン性能、すべてにおいて最高水準であり、プロの要求にも応えるスペックを誇ります。「最高の環境で創作したい」という方におすすめです。
Samsung Galaxy Tab S11 Ultra《究極のクリエイティブツール》
Galaxy Tab S11 Ultraは、2025年発売のGalaxy Tab Sシリーズ最新フラッグシップモデルです。最新モデルならではの圧倒的な処理能力と、大容量バッテリーで、長時間の作業も快適です。
14.6インチの有機ELディスプレイは、A4サイズの作品をほぼ原寸大で表示でき、ツールパレットを表示してもキャンバス領域が十分に確保できます。複数のレイヤーパネルやカラーパレットを同時に開いても作業領域が狭くなりません。発色も美しく、細部に至るまで正確に確認できます。
付属のSペンはWacom EMR技術を採用し、4096段階の筆圧感知と傾き検知に対応。充電不要で、ペン先の追従性も優れており、紙に描くような自然な描き心地です。プロのニーズに応える高い精度を誇ります。
現行Androidタブレットの中で、画面サイズと処理性能、ペンの完成度の最高峰のバランスを持つモデルです。
| 画面 | 14.6インチ、有機EL |
|---|---|
| プロセッサ | MediaTek Dimensity 9400+、3.73GHz、8コア |
| メモリ容量 | 12GB / 16GB |
| ストレージ容量 | 256GB / 512GB/1TB、microSDで2TBまで拡張可能 |
| ペン | Sペン付属 |
| バッテリー | 11,600mAh |
| その他 | Galaxy AI対応、防水防塵IP68、軽量692g |
| 価格 | 191,535円~(256GB) |
Samsung Galaxy Tab S10 Ultra《型落ちでも現役!大画面でパワフルな一台》
2024年発売の前世代フラッグシップですが、性能は依然としてトップクラス。S11 Ultraと同様、14.6インチの有機ELディスプレイを搭載しており、価格を抑えつつほぼ同じ大画面での作業環境が手に入ります。
S11 Ultra と比べて、プロセッサは前世代のものになりますが、複数のプロジェクトを並行して進めるプロのワークフローにも対応できる、イラスト制作においては十分な性能です。非常にファイルサイズの大きな作品を扱わないなら、こちらのほうが18,000円ほどお得になります。
色域も広く、DCI-P3をカバーしているため、印刷物やウェブ用の作品を制作する際の色管理もしやすくなっています。
有機ELの美しい発色を求める方、実績のあるモデルを選びたい方、最高クラスの環境を少しでも安く手に入れたい方に、おすすめです。
| ディスプレイ | 14.6インチ、有機EL (2960×1848) |
| プロセッサ | MediaTek Dimensity 9300+ |
| メモリ | 12GB/16GB |
|---|---|
| ストレージ | 256GB/512GB/1TB(最大1.5TB拡張可能) |
| ペン | Sペン付属 |
| バッテリー | 11,200mAh |
| その他 | Galaxy AI対応、防水防塵IP68、718g |
| 価格 | 173,536円~(256GB) |
Samsung Galaxy Tab S11《持ち運びと性能を両立した万能モデル》
Galaxy Tab S11は、プロ仕様の性能を保ちながら、持ち運びやすさとのバランスを実現したモデルです。S11 Ultraと同じ最新プロセッサを搭載しているため、処理能力は上位モデルと変わりません。Galaxy AIの恩恵も同様に受けられます。価格がUltraモデルの3分の2程度に抑えられている点も魅力です。
Sペンが標準で付属するため、追加でペンを購入する必要がなく、すぐにイラスト制作を始められます。
11インチという画面サイズは、A5〜B5サイズの作品制作に適しており、キャラクターイラストや挿絵、マンガのネームなど、さまざまな用途で活躍します。本体はA4用紙とほぼ同じサイズで、カバンに入れてどこへでも持ち運びやすいバランスの良さが魅力です。
469gという軽量ボディは、長時間の制作でも疲れにくく、ソファやベッドでのリラックスした姿勢での作業にも適しています。カフェや移動中など、外出先での制作機会が多い方には最適なサイズです。
自宅には14.6インチモデル、外出用に11インチモデルという2台持ちをするプロクリエイターもいます。11インチは携帯性に優れる一方、細かい描き込みを行う際は画面を拡大する頻度が増えます。作業内容としては、ラフスケッチ、線画、カラーラフまでを外出先で行い、細部の描き込みやエフェクト処理は自宅の大画面で行うというような、効率的な使い方をされています。
外出先でもイラスト制作をしたい方、高い性能と持ち運びやすさのバランスを重視する方、13万円以内の予算で最高レベルの性能を求める方に、おすすめです。
| ディスプレイ | 11インチ、有機EL (2560 x 1600) |
| プロセッサ | MediaTek Dimensity 9400+、3.73GHz |
| コア数 | 8コア |
| メモリ容量 | 12GB |
| ストレージ容量 | 128GB / 256GB / 512GB、microSDで2TBまで拡張可能 |
| ペン | Sペン付属 |
|---|---|
| バッテリー | 8,400mAh |
| その他 | Galaxy AI対応、防水防塵、469g(軽量) |
| 価格 | 129,036円~(128GB) |
Samsung Galaxy Tab S10+《バランスの取れた性能で長く使える人気モデル》
無印の11インチとUltraの14.6インチの中間サイズである12.4インチモデルです。有機ELディスプレイを搭載し、画面サイズと持ち運びやすさのバランスが絶妙な「ゴルディロックスサイズ」として人気です。多くのクリエイターが「最もバランスが良い」と評価するサイズです。A4の作品を8割程度の大きさで表示でき、ツールパレットを表示してもキャンバス領域が十分に確保できます。プロとして活動している方の中にも、「Ultraは自宅用として大きすぎる」「11インチは作業領域が狭い」という理由で、このサイズを選ぶ方が多くいます。
有機ELディスプレイによる美しい色彩表現と、256GBの十分なストレージ容量、10,090mAhの大容量バッテリーと、すべての要素が高レベル。
571gという重量は、膝の上に置いての作業もでき、自宅でも外出先でも違和感なく使える汎用性の高さが魅力です。
Ultraモデルより4万円ほど安く、コスパも優れています。自宅でも外出先でも同じように使いたい方、「性能、画面サイズ、価格」の総合的なバランスを最優先する方に、おすすめです。
| ディスプレイ | 12.4インチ 有機EL(2800×1752) |
| プロセッサ | MediaTek Dimensity 9300+ |
| メモリ | 12GB |
| ストレージ | 256GB/512GB |
| バッテリー | 10,090mAh |
| 重量 | 571g |
| ペン | Sペン付属 |
| その他 | Galaxy AI対応、防水防塵(IP68) |
|---|---|
| 価格 | 148,444円~(256GB) |
【5万円~10万円】趣味から仕事まで!コスパ最強のミドルレンジモデル
本格的なイラスト制作にも十分対応できる性能を持ちながら、価格はハイエンドモデルよりもぐっと抑えられた、最も競争が激しい価格帯です。趣味を本格化させたい方から、仕事のサブ機を探している方まで、幅広いニーズに応える高コストパフォーマンスなモデルが揃っています。
XPPen Magic Drawing Pad《イラストに特化!PC不要の本格液タブ体験》
イラスト制作に特化したAndroidタブレットとして注目を集めているのが、液晶タブレットで有名なXPPenが開発したMagic Drawing Padです。PC不要で使える液タブとして、従来の液タブとタブレットの良いところを融合させた製品です。
付属のX3 Proペンは、液タブメーカーXPPenが開発し、筆圧感知が16,384レベルと、一般的なタブレット用ペンの4倍の精度を持っています。傾き検知も60度まで対応。プロの液タブと同等の描画性能を実現しています。紙に描くような自然で繊細なタッチです。
ペン先の追従性が非常に高く、遅延をほとんど感じません。線のタッチが微妙に変化するアナログ的な描画感覚は、他のAndroidタブレットでは得られないものです。
Clip Studio Paint、ibis Paint X、Medibang Paintなど、主要なイラストアプリはすべて使用できます。8GBメモリと256GBストレージで、本格的なイラスト制作ができます。
専用カバーが付属し、角度調整も可能。デスクに置いての制作に最適化されています。
Galaxy Tab Sシリーズがオールラウンドなハイエンドタブレットであるのに対し、Magic Drawing Padは「イラスト制作専用機」として設計されています。動画視聴やゲームなどの汎用性では劣りますが、描画性能は圧倒的です。
価格も約7万円と、Galaxy Tab S11の半額程度。「イラスト制作にしか使わない」という方には、コストパフォーマンスに優れたモデルです。
12インチIPSパネルは、Galaxy Tab Sシリーズの有機ELディスプレイと比較すると、色の鮮やかさでは一歩譲りますが、表面が紙のような描き心地を再現するアンチグレア加工済みです。
ペンとディスプレイの相性を徹底的に追求して作られた、描き味を何よりも優先するクリエイターのための専門機材です。
液タブからの移行を考えている方、PC不要で本格的な描画環境が欲しい方、イラスト制作専用機として使いたい方、描き心地、特にペンの性能に最もこだわりたい方、7万円くらいの予算でタブレット+高性能ペン(充電不要)が欲しい方に、おすすめです。
| 画面 | 12インチ、IPSパネル |
|---|---|
| プロセッサ | MediaTek MT8771 |
| メモリ容量 | 8GB |
| ストレージ容量 | 256GB、microSDカードで最大512GB拡張可能 |
| ペン | X3 Proペン付属、充電不要、替え芯8本付属 |
| バッテリー | 8000mAh、33W急速充電 |
| その他 | PC不要の液タブ、カバー付き |
| 価格 | 69,000円 |
Xiaomi(シャオミ) Pad 7《高精細ディスプレイが魅力の高コスパ機》
2024-2025年の高コスパタブレットとして圧倒的な人気を誇るのがXiaomi Pad 7です。3.2K解像度の高性能ディスプレイは、10万円超のタブレットと比較しても遜色なく、細かい線もくっきり表示されます。
144Hzのリフレッシュレートは、ペンの動きを滑らかに追従し、描画時の遅延を感じさせません。60Hzのタブレットと比較すると、その差は歴然です。
高輝度は800nits。屋外や明るい室内でも画面が見やすく、カフェやリビングなど、どこでも快適に作業できます。
比較的新しいSoC「Snapdragon 7+ Gen3」は、ミドルレンジプロセッサの中でも高性能で、複雑なイラスト制作アプリで多層レイヤーのイラストを扱っても快適に動作します。
8,850mAhの大容量バッテリーを搭載し、一日中外出先で作業する場合でも安心です。45W急速充電にも対応しています。
Google Gemini AI機能も搭載され、画像生成やテキストからのアイデア出しなど、創作活動をサポートしてくれます。
スタイラスペンは別売りです(下記参照)。Xiaomi純正スマートペンの13,618円を含めると総額65,000円程度になります。
初めて本格的イラスト用タブレットを使われる方、安くて高性能のディスプレイ品質と処理性能を求める方、高リフレッシュレートを体験したい方、コスパ重視の方におすすめです。
| 画面 | 11.2インチ、3.2K(3200×2136)、144Hz高リフレッシュレート |
|---|---|
| プロセッサ | Snapdragon 7+ Gen3、2.8GHz、8コア |
| メモリ容量 | 8GB |
| ストレージ容量 | 128GB |
| ペン | 別売り(下記参照) |
| バッテリー | 8,850mAh、45W急速充電対応 |
| その他 | クワッドスピーカー、Google Gemini AI機能、Dolby Vision対応 |
| 価格 | 51,975円~ |
Xiaomi Pad 7 には、純正のスタイラスペンがあります。滑らかに描け、多機能ボタンでスクリーンショットやブラシ切り替えなど、Xiaomi Pad 7 独自の機能を最大限に活用できます。替え芯つき。
シャオミ(Xiaomi) タブレット Xiaomi Pad Mini《小型で高性能!サブ機としても優秀》
Xiaomi Pad Miniは、Xiaomiが2025年に投入した小型ハイエンドタブレットです。8.8インチの小型ボディに、MediaTek Dimensity 9400+という最高峰のプロセッサを搭載し、165Hzの超高リフレッシュレートディスプレイを備えています。小さな巨人とも言えるスペックを誇ります。
Dimensity 9400+は2025年最新のフラッグシッププロセッサで、Snapdragon 8 Gen3に匹敵する性能を持ちます。レイヤー数が多い重い作品でも、サクサク動作します。
3K解像度(3008×1880ピクセル)は、8.8インチサイズに対して非常に高密度で、ピクセルのドット感がまったく見えません。線画の美しさは、大型タブレット以上です。
165Hzの超高リフレッシュレートは、ペンの追従性を大幅に向上させます。ブラシストロークがリアルタイムで画面に反映され、遅延がほとんど感じられません。特に速いストロークを多用する描き方をする方には、この滑らかさは感動的です。
スタイラスペンは別売りです(下記参照)。
8.8インチという小型サイズは、片手で持ちながらの作業が可能で、電車内や待ち時間など、あらゆる場所でアイデアスケッチや線画作業などができます。重量も軽く、長時間持っていても疲れません。メインの作業環境が別にある方の、持ち運び用の強力なサブ機として活躍します。
67W急速充電は、約30分で58%まで充電可能。外出先でバッテリーが切れそうになっても、カフェでの休憩時間に十分な充電ができます。18W有線リバース充電にも対応しており、他のデバイスを素早く充電できます。
小型の高性能タブレットをお探しの方、持ち運びやすさを最優先する方、外出先でスケッチやラフ描きをしたい方、ペンの追従性を重視する方に、おすすめです。
| 画面 | 8.8インチ、3K (3008×1880)、165Hz高リフレッシュレート |
|---|---|
| プロセッサ | MediaTek Dimensity 9400+、3.73GHz、8コア |
| メモリ容量 | 8GB |
| ストレージ容量 | 256GB、microSDで2TBまで拡張可能 |
| ペン | 別売り(下記参照) |
| バッテリー | 7500mAh、67W急速充電、18W有線リバース充電/td> |
| その他 | デュアルType-C端子 |
| 価格 | 74,980円~ |
Xiaomi Pad Mini には、純正のスタイラスペンがあります。滑らかに描け、多機能ボタンでスクリーンショットやブラシ切り替えなど、Xiaomi Pad Mini 独自の機能を最大限に活用できます。替え芯つき。
【5万円以下】お絵描きデビューに最適!エントリーモデル
「デジタルイラストを始めてみたいけど、最初から高価な機材はちょっと…」という方に最適なのが、この価格帯です。基本的なイラスト制作に必要な性能は十分に備えつつ、お手頃な価格。最初の一台として、あるいは動画鑑賞などとの兼用機としておすすめです。
Xiaomi POCO Pad《動画鑑賞も得意な大画面エンタメモデル》
4万円を切る価格で12.1インチの大画面を実現した、コストパフォーマンスモデルです。A4サイズのイラストを大きく表示でき、ツールパレットを表示しても作業領域が十分に確保できます。120Hzの高リフレッシュレートにより、滑らかな描画。イラストだけでなく、動画や電子書籍も快適に楽しめます。
プロセッサはSnapdragon 7s Gen 2。通常のイラスト制作には十分な性能です。
ストレージも256GBと大容量で、高解像度のイラストを多数保存でき、microSD拡張も1.5TBまで対応しているため容量不足の心配がありません。
10,000mAhの大容量バッテリーで、一日中充電なしで作業できます。
スタイラスペンは別売りです(下記参照)。
12インチクラスのタブレットは通常7〜10万円の価格帯ですが、POCO Padは4万円以下。イラストも描ける大画面エンタメタブレットとしてのバランスが非常に良いモデルです。初期費用を抑えたい学生の方や、「まずは試してみたい」という方、家族みんなで色々使いたい方におすすめです。
| 画面 | 12.1インチ、2.5K、120Hz |
|---|---|
| プロセッサ | Snapdragon 7s Gen 2、2.4GHz、8コア |
| メモリ容量 | 8GB |
| ストレージ容量 | 256GB、microSDで1.5TBまで拡張可能 |
| ペン | 別売り(下記参照) |
| バッテリー | 10000mAh |
| 価格 | 39,980円~ |
スタイラスペンは、シャオミ(Xiaomi) 純正で、「POCO Pad」と「Redmi Pad」で使える、「シャオミ(Xiaomi) Redmi Pad 2 スマートペン ホワイト」(6,980円)がおすすめです。(「POCO Pad」と「Redmi Pad」はハードウェアとソフトウェアを共有しているため、スタイラスペンなどの周辺機器も互換性があります。)
4096段階の筆圧感知に対応し、ペン先の太さや濃淡を自在にコントロールできるため、繊細なタッチの表現が可能です。また、低遅延設計により、ペンを走らせてから線が描画されるまでのタイムラグが少なく、思考を妨げることのないシームレスな描き心地を提供します。
ペン本体には多機能ショートカットキーを搭載しており、Mi Canvasを開く、ページスクロールするなどができ、効率的に描けます。クリスタなどのお絵かきアプリにも対応しています。
シャオミ(Xiaomi) タブレット Redmi Pad 2《とにかく安く始めたい初心者のための入門機》
Redmi Pad 2は、Xiaomiが提供する、コスパ最強のタブレットです。2万円台という破格の価格ながら、11インチの大画面ディスプレイを搭載し、基本性能もしっかりしています。
2.5K解像度(2048 x 1536)は、エントリーモデルとしては高精細で、線画もくっきり表示されます。
9,000mAhの大容量バッテリーは、一日中使用しても余裕があります。充電の心配をせずに制作に集中できます。軽量設計により、長時間持っていても疲れにくく、リビングやベッドでのリラックスした姿勢での作業に適しています。
専用のスマートペンが別売りで用意されています(下記参照)。
メモリが4GBと少ないため、レイヤーを多用するような複雑な作業には向きませんが、趣味で絵を描く、SNSに投稿する、練習用に使うなど、ライトな用途においては最高のコストパフォーマンスを発揮します。
デジタルイラスト初挑戦の方、予算を抑えたい方、イラストの練習用のタブレットをお探しの方におすすめです。
| 画面 | 11インチ、2.5K |
|---|---|
| プロセッサ | Helio G100-Ultra、8コア |
| メモリ容量 | 4GB |
| ストレージ容量 | 128GB、microSDで2TBまで拡張可能 |
| ペン | 別売り(下記参照) |
| バッテリー | 9,000mAh |
| その他 | Dolby Atmos対応 |
| 価格 | 21,980円~ |
Xiaomi Redmi Pad 2には専用のスマートペンが別売りで用意されています。4096段階の筆圧感知に対応し、ペン先の太さや濃淡を自在にコントロールできるため、繊細なタッチの表現が可能です。
充電式で長時間使用でき、本体にマグネット吸着することで持ち運びも便利。価格も6,980円と手頃で、本体と合わせても3万円以内に収まるのが大きな魅力です。傾き検知機能も備えているため、鉛筆やブラシのような自然な描き心地を実現。
エントリーモデルながら本格的なデジタルイラスト制作を始められる、コストパフォーマンスに優れたペンです。
Amazon Fire HD 10 タブレット 第13世代《お試し感覚で始められる超入門機》
Amazon Fire HD 10は、2万円を切る価格で購入できる、最もお手軽なエントリーモデルです。10.1インチの1080pフルHDディスプレイは、この価格帯としては十分な画質で、基本的なお絵描きアプリを使うことができます。
Androidから派生した、Amazon独自のFire OSを搭載しているため、Google Playストアは標準では使えませんが、Amazonアプリストアから様々なお絵描きアプリをダウンロード可能です。
特にKindle Unlimitedやプライム・ビデオなど、Amazonのサービスとの親和性が非常に高く、イラスト制作の合間に電子書籍で参考資料を読んだり、動画で技法を学んだりと、総合的なクリエイティブ環境を低コストで構築できます。
専用のスマートペンが別売りで用意されています(下記参照)。
軽量で持ち運びやすく、バッテリー持続時間も13時間あるので、充電を気にしないでイラストに取り組めます。内部ストレージは32GB または 64GBですが、microSDカードで1TBまで拡張可能です。
本格的に始める前にまずは試してみたいという方、お子さまに初めてのデジタルお絵描き環境を与えたいという方におすすめです。
| 画面 | 10.1インチ、1920 x 1200ピクセル |
|---|---|
| プロセッサ | 8コア |
| メモリ容量 | 3GB |
| ストレージ容量 | 32GB / 64GB、microSDで1TBまで拡張可能 |
| ペン | 別売り(下記参照) |
| バッテリー | 6300mAh(最大13時間駆動) |
| その他 | 軽量465g |
| 価格 | 19,980円~(32GB) |
Fire HD 10 第13世代用のスタイラスペン (Made for Amazon 認定取得) は、付属のバッテリーで駆動し、充電・ペアリング不要。反応も良く使いやすいです。ペン本体はマグネットでタブレットの側面に固定できるため、持ち運びにも便利。4096段階筆圧感知・ホバー機能もあります。パームリジェクションに対応しているので、画面に手をついて描くことができます。
対応アプリはメディバンペイント、OneNoteなどです。「Fire HD 10 キッズモデル」や「Fire max 11」にも使えます。4,980円で提供されています。本体と合わせて25,000円以内という価格は、デジタルイラスト入門の敷居を大きく下げてくれます。
イラスト用Androidタブレットに関するQ&A
ここまで様々なタブレットを紹介してきましたが、購入を検討する上で、まだいくつか疑問や不安な点があるかもしれません。この章では、よく寄せられる質問にお答えします。
iPadとどっちがいい?それぞれのメリット・デメリットを解説
これは、イラスト用タブレットを探す誰もが一度は悩む最大のテーマでしょう。どちらも優れたデバイスですが、それぞれに得意なこと、不得意なことがあります。
iPadを選ぶメリット
- Apple Pencilの圧倒的な完成度: 遅延の少なさ、精度の高さ、描き心地の自然さは、多くのプロが絶賛するレベルです。
- プロ向け優良アプリの存在: iPadでしか使えない買い切り型の高機能ペイントアプリ「Procreate」は、非常に大きな魅力です。
- 直感的でシンプルな操作性: OSの操作がシンプルで分かりやすく、初心者でも迷わず使いこなせます。
- リセールバリューの高さ: 型落ちしても中古市場での価格が下がりにくく、将来的に買い替える際にも有利です。
Androidタブレットを選ぶメリット
- 価格と選択肢の豊富さ: 本記事で紹介したように、低価格な入門機からプロ向けの高性能機まで、予算や目的に合わせて非常に多くの選択肢から選べます。
- ストレージ拡張の容易さ: ほとんどのモデルがmicroSDカードに対応しており、容量不足の心配を安価に解決できます。
- PCライクなファイル管理: PC(特にWindows)と同じようにフォルダを作成し、ドラッグ&ドロップでデータを自由に管理・移動できます。
- 高いカスタマイズ性: ホーム画面のレイアウトやウィジェットの配置など、OS全体を自分の使いやすいように細かく設定できます。
【結論】
「最高の描き心地と、Procreateのような専用アプリを使いたい」「予算に余裕がある」という方はiPadが向いています。一方で、「コストを抑えたい」「データの管理やカスタマイズを自由に行いたい」「豊富な選択肢から自分に最適な一台を選びたい」という方にはAndroidタブレットが最適です。
おすすめのイラスト制作アプリは?(Clip Studio Paint, アイビスペイントXなど)
Androidには無料で使える優秀なアプリもたくさんあります。
- 【プロの定番】Clip Studio Paint(クリスタ)
PC版でも絶大なシェアを誇る、プロ御用達のペイントソフトです。筆圧感知、レイヤー、ベクターなど本格機能完備。イラスト、マンガ、アニメーション制作まで対応する圧倒的な多機能さが魅力。月額/年額の利用料が必要ですが、本格的な作品作りに挑戦したいなら、まず検討すべきアプリです。(一部のGalaxyタブレットでは、期間限定で無料利用できる特典が付くこともあります) - 【無料で高機能】アイビスペイントX
無料とは思えないほど多機能で、初心者から上級者まで幅広く使われている人気の日本製無料イラストアプリです。豊富なブラシや素材、使いやすい操作画面が特徴で、作画工程を動画としてSNSにシェアする機能も充実しています。 - 【マンガ制作に強い】MediBang Paint(メディバンペイント)
こちらも無料で利用できる本格派アプリで、特にマンガ制作に便利なコマ割り機能や、豊富なフォント、トーン素材が揃っているのが強みです。クラウド保存に対応し、スマホやPC版と連携もできます。
画面保護フィルムは貼るべき?おすすめの種類は?(ペーパーライクフィルムなど)
必須ではありませんが、より快適な描き心地を求めるなら画面保護フィルムを貼ることをおすすめします。特に、イラスト制作者に人気なのが「ペーパーライクフィルム」です。
これは、フィルムの表面が意図的にザラザラと加工されており、ガラスの上をペンが滑る感覚を軽減し、まるで紙に鉛筆で描いているかのような適度な抵抗感(描きごたえ)を生み出してくれます。これにより、線のコントロールがしやすくなるという大きなメリットがあります。
ただし、ペン先の摩耗が少し早くなる、画面の鮮やかさが若干落ちるといったデメリットもあるため、好みで選びましょう。
まとめ:自分にぴったりのAndroidタブレットで、イラスト制作を始めよう
今回は、イラスト制作という目的に特化して、高性能なAndroidタブレットの選び方から、価格帯別のおすすめモデルまでを詳しくご紹介しました。
数年前まで、Androidタブレットは「安価だが性能はそこそこ」というイメージがあったかもしれません。しかし今や、プロのクリエイターがメイン機として選択するに足る、非常に高性能で魅力的なモデルが数多く存在します。
「自分がどんな場所で、どんな絵を描きたいか」を具体的に想像しながら、あなたにとって最高の相棒となる一台を見つけてください。
この記事が、より快適な創作活動の第一歩を踏み出す、きっかけとなれば幸いです。
