Appleのタブレットとして人気の高いiPadシリーズには、(無印の)iPad、iPad Air、iPad mini、iPad Pro の4モデルがあります。その中でも、高性能なのに比較的手頃な価格の 無印 iPad と iPad Airが特に人気です。
初心者向けでお得なエントリーモデルのiPadが第9世代から第10世代に大きく刷新された際に、iPad Airとの違いが分かりにくくなったので、どちらを選ぶべきなのか迷う点もでてきました。
そこで今回は、双方の最新モデルである2022年発売の「iPad Air 第5世代」と「無印iPad 第10世代」を徹底的に比較し、目的別の使い勝手の違いを検証します。
iPad Air 第5世代と無印iPad 第10世代の違い
まずは、iPad Air 第5世代 (2022年3月18日発売)と 無印iPad 第10世代 (2022年10月18日発売)の基本的な違いを見ていきましょう。12項目について比較します。
ディスプレイ
どちらも10.9インチLiquid Retinaディスプレイ、解像度 2360×1640ピクセル、画素密度 264ppi。
iPad Air のみ、さらに次の3項目に対応しています。
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広色域ディスプレイ(P3)
sRGBより約25%広い色域を表示できます。 -
フルラミネーションディスプレイ
液晶ディスプレイから(タッチパネルを挟んで)カバーガラスまでを圧着して一体化させてあります。ディスプレイとカバーガラスの間にあった隙間が無くなり、光の余分な反射が抑えられて、画面の迫力が増しました。ペン入力の精度も大幅に向上。 -
1.8%の反射率
独自の反射防止コーティングのおかげで反射率がきわめて低くなっています。外光の反射を防いでくれるので、屋外でも画面が見やすく、目が疲れにくく。
色彩が豊かで見やすい画面や、ペン入力の精度を求める方には、iPad Air のほうがおすすめです。
チップ
無印iPadはA14 Bionicチップを搭載しています。これはiPhone 12シリーズと同じで、少し前のチップですが、十分に高性能なチップです。CPU性能やグラフィックス性能はiPad Airよりも劣りますが、一般的な作業では問題ありません。
iPad AirはM1チップを搭載しています。これはAppleが開発した高性能なプロセッサで、MacBook AirやiPad Proなどにも採用されています。上記の無印iPad 第10世代や、iPad Air 第4世代のA14 Bionicに比べて、最大60%高速化。CPU性能やグラフィックス性能が非常に高く、ゲームや動画編集などの重い作業でもサクサク動きます。ビジネスユースにも、こちらのほうが適しています。
カメラ
両機種のカメラの性能は前面カメラ・背面カメラともに全く同じです。
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前面カメラは1,200万画素のƒ/2.4超広角レンズを採用し、センターフレームに対応
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背面カメラはƒ/1.8絞り値のシングルレンズ仕様で、写真のスマートHDR 3に対応。最大4K@60fpsのビデオ撮影をサポート
唯一の違いは、前面カメラの配置です。iPad Air 第5世代はディスプレイの短辺側上部にありますが、iPad 第10世代 は長辺側に移動しました。
iPad Air 第5世代までは、横向きにしてFaceTimeで通話する時などに、画面の中央を見て話すと、自分の映像が斜め横からの映像になってしまっていたのですが……
これでFaceTimeで通話する時にも、Zoomによるオンライン会議やビデオ撮影の時にも、常に正面からカメラを見ることができます。ランドスケープ(横向き)モードがデフォルトになったということですね。Magic KeyboardやiPadケースの多くは、横向きで使うようになっていますし。
横向きにしてカメラを使うことが多いなら、iPad 第10世代 のほうがいいですね。
バッテリー
バッテリ—容量は、iPad 第10世代のほうがわずかに勝りますが、ディスプレイのサイズ・輝度などが同じなので、電池持ちの感覚としてはほぼ同じです。
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バッテリ—容量
iPad Air 第5世代:7,606 mAh
無印iPad 第10世代:7,730mAh -
バッテリー駆動時間
どちらも、Wi-Fiでのインターネット利用、ビデオ再生の場合で、最大10時間。
充電にはUSB-Cケーブルまたは20W USB-C電源アダプターを使います。
ストレージ
どちらも、64GBと256GBの2種類のストレージ容量があります。
通信
iPad Air 第5世代:Bluetooth 5.0、Wi‑Fi 6(802.11a/b/g/n/ac/ax)、2.4GHz/5GHz、同時デュアルバンド、最大速度1.2Gbps
無印iPad 第10世代:Bluetooth 5.2、Wi‑Fi 6(802.11ax)、2.4GHz/5GHz、最大速度1.2Gbps
Bluetoothは、後に発売された無印 iPadのほうが最新規格に対応しています。
Wi-Fiは、どちらもWi-Fi 6をサポートしていますが、対応する規格数はiPad Airのほうが多くなっています。
セルラーモデルは、iPadが最大27バンドのギガビットLTEに対応。iPad Airは最大32バンドまでサポートしています。
コネクタ
どちらもUSB-Cコネクタを採用しています。高速データ転送や多様な周辺機器の接続が可能。
生体認証
両機ともホームボタンは無く、生体認証はトップボタン(電源ボタン)の指紋認証で行います。
電源投入と同時に指紋認証もされるので、とても使いやすい設計ですね。
対応するアクセサリ
- Apple Pencil
iPad 第10世代 は後発にもかかわらず、対応しているのは、なぜかApple Pencil 第1世代。
しかも、Apple Pencilの第1世代はLightning端子を使用して充電する仕様です。
そのため、コネクタがUSB-Cになった iPad 第10世代 では、本体から直接充電ができなくなってしまいました。「USB-C – Apple Pencilアダプタ」というアダプタを介して、ペアリングや充電を行うことに……。
一方、iPad Air 第5世代 はApple Pencil 第2世代をサポート。マグネットで本体側面に取り付けるだけで充電でき、ペアリングを行えます。
Apple Pencilでイラストを描きたい、指の代わりにApple Pencilを使いたい、日常的にノートやメモを取りたいという方には、iPad Air 第5世代 がおすすめです。
- 純正キーボードアクセサリ
iPad 第10世代 は Magic Keyboard Folio に対応。
Magic Keyboard Folio はキーボード部分が着脱可能なケースです。iPadの前面と背面を守り、マグネットで着脱。
キーボードをつけてパソコンのようにタイピングもできますし、キーボード部分を取り外してタブレットらしい手軽な使用もできます。
また、iPad Proなどの Magic Keyboard のキー配列は5列ですが、Magic Keyboard Folio は6列なので、14のファンクションキーによるショートカットが使えるようになりました。
iPad Air 第5世代 は Magic Keyboard と Smart Keyboard Folio に対応しています。
Smart Keyboard Folioは、必要な時にいつでもフルサイズのキーボードになり、使わない時はデバイスの前面と背面を守る軽量のカバーになります。
充電やペアリングは不要。キーボードを取りつけるだけで、すぐに文字入力を始められます。
本体のサイズと重量
項目 | iPad 第10世代 | iPad Air 第5世代 |
---|---|---|
高さ | 248.6 mm | 247.6 mm |
幅 | 179.5 mm | 178.5 mm |
厚さ | 7 mm | 6.1 mm |
重量(Wi-Fiモデル) | 477 g | 461 g |
重量(Cellularモデル) | 481 g | 462 g |
わずかですが、iPad Airのほうが小型でスリムで軽くなっています。
本体のカラー
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無印iPadはシルバー、イエロー、ピンク、ブルーの4色展開。元気の出るポップカラーです。
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iPad Airはスペースグレイ、スターライト、ピンク、ブルー、パープルの5色から選べます。スモーキーな落ち着いた色合いで、高級感があります。
価格
モデル | ストレージ | iPad 第10世代 | iPad Air 第5世代 |
---|---|---|---|
Wi-Fiモデル | 64GB | 68,800円 | 92,800円 |
256GB | 92,800円 | 116,800円 | |
Wi-Fi+セルラーモデル | 64GB | 92,800円 | 116,800円 |
256GB | 116,800円 | 140,800円 |
スペックまとめ
ここまで比較してきたスペックを一覧表にまとめました。
項目 | iPad Air 第5世代 |
---|---|
ディスプレイ | 10.9インチLiquid Retinaディスプレイ (2360 x 1640ピクセル) |
チップ | M1チップ |
カメラ | 1,200万画素のƒ/2.4超広角カメラ |
バッテリー | 7,606 mAh、最大10時間 |
ストレージ | 64GB、256GB |
通信 | Bluetooth 5.0、Wi‑Fi 6、最大速度1.2Gbps |
コネクタ | USB-Cポート |
生体認証 | トップボタンに組み込まれたTouch ID |
Apple Pencil | Apple Pencil 第2世代 |
純正キーボード | Magic Keyboard、Smart Keyboard Folio |
高さ | 247.6 mm |
幅 | 178.5 mm |
厚さ | 6.1 mm |
重量(Wi-Fiモデル) | 461 g |
重量(Cellularモデル) | 462 g |
本体カラー | スペースグレイ、スターライト、ピンク、パープル、ブルー |
価格 | 92,800円〜 |
↓iPad Air 第5世代と同じである箇所には(同)と表示しています。
項目 | 無印iPad 第10世代 |
---|---|
ディスプレイ | (同)10.9インチLiquid Retinaディスプレイ (2360 x 1640ピクセル) |
チップ | A13 Bionicチップ |
カメラ | (同)1,200万画素のƒ/2.4超広角カメラ |
バッテリー | 7,730mAh、最大10時間 |
ストレージ | (同)64GB、256GB |
通信 | Bluetooth 5.2、Wi‑Fi 6、最大速度1.2Gbps |
コネクタ | (同)USB-Cポート |
生体認証 | (同)トップボタンに組み込まれたTouch ID |
Apple Pencil | Apple Pencil 第1世代 |
純正キーボード | Magic Keyboard Folio |
高さ | 248.6 mm |
幅 | 179.5 mm |
厚さ | 7 mm |
重量(Wi-Fiモデル) | 477 g |
重量(Cellularモデル) | 481 g |
本体カラー | シルバー、ブルー、ピンク、イエロー |
価格 | 68,800円〜 |
iPad Air第5世代は、無印iPad第10世代よりも高性能なチップと、より広い色域のディスプレイを搭載しています。また、Apple Pencil (第2世代)、Smart Keyboard Folioに対応しています。
一方、無印iPad第10世代は、iPad Air第5世代よりも24,000円低価格で、Apple Pencil (第1世代)、Magic Keyboard Folioに対応しています。
iPad Airと無印iPad、目的別に使い勝手の違いを検証
iPad Airと無印iPadの違いを見てきましたが、実際にどんな目的で使うときにどちらが使いやすいのか、具体的に検証してみましょう。以下の7つの項目について比較します。
ネット閲覧
ネット閲覧においては、iPad Airと無印iPadの差はあまり感じられません。どちらもWi-Fiやセルラーでインターネットに接続でき、SafariやChromeなどのブラウザでWebサイトを閲覧できます。SNSやメールなどのコミュニケーションアプリや音楽や読書などのエンタメアプリなども使えます。
iPad Airの方が反射が少なく見やすいので、長時間ネットを見る場合は疲れにくいかもしれません。
動画視聴
動画視聴においては、iPad Airの方が使いやすいです。広い色域を表示できるディスプレイなので映像が美しい。光の反射を防いでくれるので屋外でも画面が見やすく、迫力のある映像を楽しめます。目が疲れにくいのもいいですね。
仕事
仕事においては、iPad Airの方が使いやすいです。チップが高性能で、複雑な作業でもスムーズに行えます。また、前面カメラがTrueDepthカメラで、Face IDやアニ文字・ミー文字などを使えます。これらの機能は、ビデオ会議やプレゼンテーションなどで役立ちます。
Apple Pencil第2世代に対応しており、手書きメモやスケッチなどが便利
無印iPadでは、チップが劣っており、重い作業では動作が遅くなることもあります。ただし、前面カメラが長辺ベゼルにあるため、ビデオ通話では顔の角度が自然に見えます。
勉強
勉強においては、iPad Airと無印iPadのどちらも使えます。どちらもApple Pencilに対応しており、手書きメモやスケッチなどが便利です。また、iWorksやMicrosoft Officeなどの文書作成・表計算・プレゼンテーションのアプリも使えます。
iPad Airの方がチップが高性能なので、複数のアプリを同時に使ったり、重いファイルを扱ったりする場合は使いやすいです。また、Apple Pencil第2世代に対応しており、手書きメモやスケッチをよく使う場合には便利です。
無印iPadの方が価格が安く、コスパが良い。予算を抑えたい場合は向いています。
ゲーム
ゲームにおいては、iPad Airの方が使いやすいです。チップが高性能で、グラフィックス性能が高いため、重いゲームでも快適に動作します。また、広い色域を表示できるディスプレイなので、映像が美しい。
無印iPadでは、チップが劣っており、重いゲームでは動作が遅くなることもあります。軽量なゲームやカジュアルなゲームなら問題なく楽しめます。
画像・動画編集
画像・動画編集においては、iPad Airの方が使いやすいです。チップが高性能で、グラフィックス性能が高いため、重い編集作業でもスムーズに行えます。広い色域を表示できるため、細かな部分まで確認できます。目が疲れにくいのもいいですね。
無印iPadでは、チップが劣っており、重い編集作業では動作が遅くなることもあります。ただし、軽い編集作業なら問題なくできます。
初めてのiPadで迷うなら
初めてのiPadにおすすめなのは、無印iPadです。理由は以下の通りです。
- 価格が安く、コスパが良い
- チップが十分に高性能で、一般的な作業には問題ない
- 前面カメラが長辺ベゼルにあるため、横向きでのビデオ通話がしやすい
- Apple Pencil第1世代に対応しており、手書きメモやスケッチなどができる
まとめ
この記事では、iPad Airと無印iPadの違いを徹底的に比較し、目的別に使い勝手の違いを検証してみました。最後に、それぞれどんな人におすすめなのかをまとめます。
無印iPad 第10世代がおすすめの方
無印iPad 第10世代がおすすめの方は、以下の通りです。
- 低コスト重視
- リモート会議などビデオ通話をよくする
- Web閲覧や動画視聴などの日常使い用
- YouTubeやネットフリックス、プライムビデオなどの動画視聴
- 軽いゲーム
- カメラ撮影
- 電子書籍、漫画を読む
- イラスト作成はあまりしない
- カーナビとして使用
- 第1世代のApple Pencilを既に持っている
- iPad 第9世代 からの買い替えを安く済ませたい
- リモート会議に参加 等
iPad Air 第5世代がおすすめの方
iPad Air 第5世代がおすすめの方は、以下の通りです。
- 性能重視
- 薄くて軽いiPadを求めている
- 動画編集や3Dオンラインゲームなど重めな使い方をする
- Apple Pencilをよく使う
- リモート会議などビデオ通話はあまりしない
- 様々なアプリを立ち上げてマルチタスクで使用 等
もちろん、これらはあくまで一般的な傾向であり、個人の好みや予算によっても変わってきます。外見やスペックには違いがありますが、どちらも高性能なタブレットです。
あなたの用途やニーズに合わせて、最適なiPadを選んでくださいね。
以上、iPad Air 第5世代 と無印iPad 第10世代 の目的別使い勝手の違いを検証しました。